- 取材
- 2017. 11. 27
カット料金”54000円”「Lily代表 柳本剛」 X カット料金”0円”「Hair&Art KOE代表 KOH」の会食をレポート
非常に示唆に富んだインタビューとなりましたので、是非ご覧下さい。
柳本剛(以下:柳本)
なぜ、全メニューを0円にしようと思ったのですか?
KOH:
青空美容室で兵庫県の丹波市という所に呼んで頂いた際に、カット料金は主催者側に決めてもらったんですね。
そしたら「500円」に設定されてしまいまして 笑
500円じゃ交通費にもならないから、お客さんからチップを貰ったんですよ。
そしたら多くの方が快くチップをくれまして。
だいたい「500円から3,000円」くらい。
柳本:
カット料金よりチップの方が高いですね!
KOH:
そうなんです。
その時に”値段設定っていくらでも良いな”と思いまして。
「なんで500円にしたの!?」って思ってた自分が恥ずかしくなったというか。
柳本:
なるほど、わかるなぁ。
人の「応援したいな!」っていう想いを集めれば、料金は設定しなくても生きていけると思ったんですね。
KOH:
そうですね。
カット料金とか客単価とか、本当は考えなくても良い事を考えてしまっていたのかなって。
柳本:
うん、すごく共感するな。
経営者になると特に数字ばかり考えてしまうんだけど、数字ばかり考えていると面白くないんですよね。
“面白くないこと”に人は集まらない。
あと経営の視点から考えると
数字で考えると、頭の良い人達や、資本のある人達に負けてしまうと思う。
「個人で出来る面白いことって何だろう?」ってのが、KOHさんがやっているような事だと思う。
編集:
全メニューを0円にしてみてどうなりましたか?
KOH:
不思議なことに、サロン内の収益ではなく、サロン外の収益で生活しているんです。
どういうことかと言うと、募金箱を持ち歩いていてチップみたいに入れてもらうんですが
サロンのお客さまよりも、活動自体を面白いと思った方からの支援額の方が多いんです 笑
柳本:
へぇー!面白いですね!
編集:
ちなみに、本質とはずれてしまう質問なのですが
募金箱制にしてサロンのお客さまの「単価」はどうなりましたか?
KOH:
サロンのお客さまの単価は、元々7~8,000円だったのですが、3~4,000円に下がりました 笑
だけど先ほど言ったように、サロン外の支援があるので、今月の月収ベースでは3倍になってます。
【募金箱(口座番号やQRコードでビットコイン送付先も記載)】
KOH:
柳本さんはなぜ「54,000円」にしたんですか?
柳本:
本当に理由は単純で「面白いこと」がしたかったからだけです。
周りの方々からは、ビジネス的な観点で色々分析頂くのですが「なるほどなぁ、そう言う見方もあるよなぁ」くらいに思ってます 笑
もっと言うと「誰もやらないことを一番最初にやる、挑戦する」その事自体に価値があると思っているので、結果がどうなるかは考えてなかった。
27,000円にした時も同じで、結果的には他の美容師の方々も値段も上がっているんじゃないですかね。
編集:
ちなみに2週間くらい経ちましたが(11/22時点)どうなりましたか?
柳本:
男性からの問合せが沢山きてます 笑
でも僕は男性は得意じゃないので、やらないと決めているんです。
女性の方からは1日2人位の問合せを頂いてます。
KOH:
すごいですね!そういう方はどういう事を求めて来られるのですか?
柳本:
女性の方は、これまでと何も変わらなくて「可愛くなりたい、綺麗になりたい」という事ですよ!
そういう方々は僕の事をとても信用してくれている。
男性の問合せには色々あると思いますが 笑
現状でいえば
もともと僕の性格上、一人一人に時間をかけたい、質を求めたいという想いがあったので良い感じです。
だけど、これで新規が来なくなったらそれはそれで良いかなと思ってましたし、美容師でなくなることは何も恐くないんですよね。
また、面白い何かをするだけです 笑
編集:
KOHさんは美容師を選んでよかったと思っていますか?
KOH:
思いますね!
たとえば旅の中だと、その辺の街にいる人に髪を切ってあげると、そこから交流が生まれて想像もしなかった事が起きる。
カットは”人と人を繋ぐツール”だと思っています。
柳本:
それは、すごく本質的なことだと僕も思います。
髪を切ることを”コミュニケーションの一つ”だと捉えられると
その方との関係性を作る事を考えるので、違った可能性が生まれてきますよね!
KOH:
ほんとそうだと思います。
面白い事をすると、面白い人が寄ってくるんですよね!
そこから色々と、想像もしなかった事が、今、起こっています。
例えば、来年の夏頃から
スケボーで世界を横断をして、ギネスの更新をする事になりそうです 笑
柳本:
とんでもないですね 笑
色んな人に出会い、関係性の母数を増やす事に特化する。
そうすると、もっと大きな結果が生まれる。
すごく大事な事だと思います。
編集:
この先、どんな事をしたいと考えていますか?
KOH:
何も考えていないんです 笑
支援頂いている方たちの為にも、こうした活動をやり続けていくという事だけは決めているのですが、他は何も考えていないです。
自分が想像できるゴールよりも、これからの出会いの連続が、今からは想像ができない未来が待っていると思うので。
こういった活動を続けていく事だけです。
それと、今回の事を社会実験だなんて思ってないです 笑
それは支援頂いている方々に失礼だと思うので。
柳本:
僕も何も考えていないんですが、面白い事をし続けたい。
それが上手くいく、いかないはどっちでも良くて 笑
そもそも面白いことは、後先考えていたら出来ないと思う!
—編集後記—
KOHさんは「社会に信用してほしいから、自分もフォロワーや社会を信用する」という、柳本さんは「自分のお店を出す時に、銀行や国からお金を借りる事が出来なかったが、友人達が貸してくれた。そういう力を感じているし、信じている」と言う。
近年の「合理性」や「資本」が重視された社会から、SNSなどの情報革命における「評価経済社会」の到来が提唱されている。
今回のお二人のプライシングは、他の業界に先行して評価経済社会の到来を象徴しているものかもしれない。
確実に時代は流れていて、”新しい風”が吹いている…
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