- 取材
- 2016. 11. 19
“インバウンド美容”って、実際どうなの?
“インバウンド美容”という言葉が一人歩きし、実際にはサロンが恩恵を受ける事など皆無に等しいと言える現状。はたして、外国人旅行者が美容サロンに来店される事はあるのだろうか?
日本観光情報サイト「樂吃購! 日本」を運営する株式会社ジーリーメディアグループ代表取締役 吉田皓一氏に取材を行った。
〜樂吃購(ラーチーゴー)!日本とは〜
Facebookのファン数53万人超・月間PV数420万超・UU数70万人超の「台湾人・香港人」向けに日本に関する情報を発信する総合情報サイト。
日本経済新聞電子版賞”最優秀賞”受賞。
台湾人・香港人のライターが現地の目線で、日本の情報を取材執筆する事が特徴。
編集部(以下:編集)
いきなりですが、外国人旅行者が日本の美容サロンに来店される可能性はあるのでしょうか?
吉田皓一(以下:吉田)
可能性は”ある”と断言できます!
ただし、外国人といっても、欧米の方は”ない”、台湾・香港の方は”ある”、中国の方はこれから”ある”と。それは、日本の事を比較的理解しているかどうか?という事が大きな違いです。
欧米の方の日本のイメージは未だに「サムライ・忍者・相撲」です。しかし、台湾・香港では日本の技術やプロダクトに関しての信頼が高く、日本の美容師やサロンが人気があるというのが証明しています。
編集
台湾・香港の方と、中国の方と分けられてましたがそれはどういう事でしょうか?
吉田
中国はこれから台湾・香港化していきます。それは観光での消費の仕方についてです。最近、中国人の”爆買い”が終わったというニュースを見た事がありますか?
編集
はい、外国人観光客を顧客としている百貨店に閑古鳥が鳴いていると。
吉田
そうです。ただ、中国人観光客の”爆買い”が終わった理由は飽きたからではなく、新たに関税が導入されたからなんです。
これまで観光客が購入したモノには関税が取られなかった、しかし新たに40%の関税が導入され、もともと転売目的で爆買いしていた中国人観光客がモノを買わなくなりました。
では外国人観光客が減ったかというと、毎年2桁の成長率で伸びています。彼らが何を観光の目的にしているかというと、それは体験です。“モノ”の消費から”コト”の消費、すなわち体験にお金を使っているのです。
それの延長で、美容サロンへ行くという可能性はあると断言が出来ます。
編集
確かにそういった可能性はあると思います。ただ、サロン側からしてみると「団体で来店されても対応出来ない!」とか「中国語が話せないから対応出来ない!」という声があります。
吉田
なるほど。まず団体での来店についてですが、実際には台湾・香港の観光客は個人での観光の方が多いんです。
中国の観光客は、現状では団体での観光客が多いのですが、徐々に個人での観光にシフトしてきています。それは、これ迄は中国からの個人での観光には、観光ビザの取得が難しかったという背景があります。
日本政府も最近では、中国人の個人の観光客に対して観光ビザの発行を緩めていますので、個人での観光にシフトしていっています。もともと、中国の方々は団体行動を好まない方が多いので、今後この傾向は続いていき、個人での観光が当たり前になるでしょう。
つづいて、言葉の問題についてですが、確かにこれは避ける事は出来ないと思います。しかし、受け入れたいという想いがあれば、「翻訳アプリ」の活用や「指差し会話」から始めるなど、工夫はいくらでもあるはずです。最も問題が起こりそうな予約の対応に関しては、弊社の予約代行サポートを使う事も可能です。
少し話は逸れてしまいますが、今後の日本の市場は全体としては縮小していきますが、伸びていく市場もあります。それは「シニア世代」と、今回のテーマである「外国人観光客」です。サロンの戦略として、外国人観光客を受け入れなくても成長できるサロンは問題ないと思います。しかし、そうでないならば言葉の問題は大きな問題ではないと考えています。
編集
なるほど、確かにその通りですね。しかし、サロンの売上はリピーターが作るといいます。外国人観光客はリピートする事は難しいと考えますが、いかがでしょうか?
吉田
確かにサロンへのリピートは簡単ではないでしょう。しかし、別の魅力が外国人観光客にはあると考えます。1つは、観光客は財布の紐が緩いという事、すなわち”物販”です。シャンプーや美容家電など日本のプロダクトの信頼はとても高いです。日本でしか買えないとなれば纏めて購入していくでしょう。
もう1つは、海外の友人達にシェアしてくれる事で、友人達の来店が見込めるという事です。台湾・香港人は日本人以上に毎日SNSをアクティブに利用しています。TVなどのマスメディアが強い日本とは違い、台湾・香港はSNSが強いのです。
編集
なるほど、友達が友達を呼ぶとは面白いですね。「樂吃購(ラーチーゴー)!日本」で、美容サロンはどんな事が出来るのでしょうか?
吉田
「樂吃購(ラーチーゴー)!日本」にサロンの情報を掲載する事で、台湾・香港人に来日する前にアピールする事が可能です。弊社の予約代行サポートを使う事で、事前に予約を受ける事も可能です。
今回インタビュー頂いたので、プールマガジンの読者限定の特典をご用意しますので、興味がありましたらお問い合わせ頂ければと思います。外国人観光客を受入れるキッカケにしていただければ幸いです。
【お問い合わせ先】
株式会社ジーリーメディアグループ
mail:toiawase@geelee.co.jp
TEL:03-5925-8611 (営業時間:9:30〜18:30)
担当:ハシモト・スガエ
※「プールマガジンを見た」とお伝えください。
— 編集後記 —
「インバウンド美容」という言葉に嫌悪感すら抱いていました。サロンの現場を知らないメディアや、流行りに飛びつく業界外の方々があたかも桃源郷の様に表現していたからである。しかし、今回のインタビューにて確かに可能性は感じた。それはインタビュー時と時を同じくして、私の台湾の友人から「日本人美容師にヘアメイクしてもらった!」と嬉しそうに連絡が来たからでもある。
私たちが考える以上に中国の都市部・台湾・香港は豊かである。各国の日系サロンのカット単価は、一様に日本のサロンの平均より高い。LCCが作りだした新たな市場は、今後も伸びることに疑う余地はない。
ともすれば、本当に桃源郷になるかどうかは日本のサロンの受け入れ体制次第かもしれない。
この記事が気に入ったら
いいね!しよう
TwitterでPOOLMAGAZINEを
Follow @POOLMAGAZINE_jp