• コラム
  • 2015. 05. 13

ある病にかかった女性の髪をカットしたお話。

こんにちはJUNです。

過去に自分のブログにも書いたので、読んでくれた方もいるかもしれませんが、今回こちら Pool Magazine にも書きたいと思います。

ある国で出会った、ある女性のお話です。

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ある国にいた時、一人の女性から「髪を切って欲しい」と連絡をもらいました。

日程を決め、当日お宅に向かう途中、僕を迎えに来てくれたその女性の旦那さんがこんなことを話してくれました。


「彼女は2日後からガンの治療のために病院にいくことになっている。そしたら薬で髪の毛がなくなってしまうからこれがしばらくの間は最後のカットになると思う。すごく楽しみにしてるからよろしくね。」

その女性はガンになったことを、家族に迷惑がかかると思い1年近く内緒にしていたが、だんだん悪くなってしまい本格的に治療を始めることになったとのことでした。

ガンについての話を聞いたということは本人には言わないでねと言われていたので、そのことには触れずに髪型のカウンセリングをはじめました。

その時に本人から『実は明後日から病院でガンの治療をうけるから髪がなくなってしまうの』と、こう言われました。

思ったより明るい感じで言ったもんだから僕は驚きました。

抗ガン剤を飲めば髪がぬけるというのは、もしかしたら映画やドラマの影響で、子供だってその事実を知ってるかもしれない。

にも関わらず、それを見ず知らずの僕に言うのは・・・と思うと逆にそれが僕の中で少し辛くも感じました。

女性の命とも言われる髪がぬけるということは、やっぱりショックだとろうと・・・。

そうでないわけがない。

男だってそうなったらかなり凹むと思います。

美容師という仕事をしていて、この様な場面は初めてのことでした。

そして、スタイルが決まり、カットを始めました。

少し長かった髪の毛を、思いっきりとまでは言わないけど見た目が変わるくらいにカットして・・・

仕上がりはスッキリとボブスタイルに。

終わって喜んでくれていたのでよかったなぁとひとまずホッとしました。

帰り道、一人になっていろんな事が頭の中をめぐり、ホテルに戻ってから抗がん剤についていろいろと調べてみたんです。

抗がん剤という薬を投与すると、2 ~ 3 週間後に髪の毛が抜け始め、髪の毛だけでなく、全身の毛に影響がでるそうです。

抗ガン剤が血液と一緒に全身をめぐり、髪の毛を作る細胞にも影響してしまうため、脱毛が起こる仕組みになっていて、現在は脱毛の対策はなく、帽子やカツラで何とかするのが一般的だそうです。

ガン治療による副作用はたくさんあるみたいですが、やはり特に目に見えてわかる脱毛は精神的にとてもつらい副作用であるにもかかわらず、周りからはあまり辛さをわかってもらえないそう。

そうか、2週間後には髪がなくなってしまうのか・・・

そう思うとなんだか気持ちはとても複雑でした。

もし、その女性と同じ立場だったらどうするか? 

僕自身だったらたぶん切りません。

どうせ抜けるんだからって諦めてしまうかもしれません。

たぶんそこに正解はないと思います。

でも、切る立場だったら・・・

最後だからこそ・・・ってきっとみなさん思うと思います。

その気持ちには全力で応えたいですよね。

もちろんその女性は2週間後に抜けるってことはわかっていて、それでも最後に・・・と髪を切りたいと思った。

そして、その大仕事に僕を選んでくれた。

僕はその時選んでもらえたことが嬉しくも、でも素直によろこべなくて、そして悲しくもあり・・・すごく複雑な気持ちで。

いろんな考えや思いが頭の中をぐるぐるめぐり、あーでもないこーでもないと自問自答を繰り返す。

例えば、もし自分が明日死ぬとしたら、僕は一体何を望むんだろう?

そんな事を考えてみても答えはさっぱりわからない。

じゃあ、もし親や大事な人が明日死ぬとしたら、僕には一体何ができるんだろう?

ただただ一緒に過ごすのか、美味しいもんでも食べるのか、それとも髪でも切るのか・・・。

本当に情けないことに僕にはそんな事しかできない。

すごい資格もない、頭も良くない。

モノや形にして人を喜ばせることといえば、髪を切ることしかできない人間。

世界を旅し、何かしたいなって思って髪を切り始めたのも、他に何もできないからです。

だけど、旅を続けていくうちに「髪を切って人に喜んでもらえることができるならそれで十分かな」と、そう思えるようになってきました。

今回のことにしても、僕が旅をしてたからこそ、僕のことを知ってくれてカットをお願いしてくれて、そしてガンという病気の治療を前にし、最後に髪を切りたいと思った女性の手助けができました。

「髪が扱いやすくて嬉しい。今迄で一番良かったよ。ありがとう」

後日その女性からメールをいただき、美容師という仕事をしてて本当によかった・・・と思いました。

その女性に出会い、例えば誰かが最後に(最後じゃなくても)何か望むことがあるとすれば、僕らみたいな仕事の人ほど手助けができるんじゃないか?とも思うようになりました。

それは政治家でも、警察官でも、サラリーマンでもなく、料理人や、整体師などの技術を持ってる人なんじゃないかなと。

きっと物事はすごくシンプルで、僕らは自分の技術を使い、人の為に何かをする、何かを作る。

そして自分の技術でお金を稼ぐし、生きていく。

ということだけ。

だけど、それには必ず相手が必要ですよね。

自分の手で、人に触れること。  

それが相手の幸せだったり感謝の気持ちを作ることになる。

その人が幸せだと思える気持ちを作れることがこういった仕事の1番の強みなのかなと思います。

シンプルなんだけど、だから僕は美容師って超素晴らしい仕事だと思っています。

だから僕は、大事な人が最後にそれを望むのであれば、髪を切ってあげたいと思っています。

その女性との出会いで本当に多くの事に気付かされました。

その女性はあまり深く考えてなかったのかもしれませんが、僕にいろいろ考えるきっかけを与えてくれました。

なので、これを読んでくれた方にも「なにか」少しでも伝わったらいいなと思い今日は書かせてもらいました。

またいつか元気になられた時に、ひょっこりお邪魔して髪を切らせてもらいに行こうと思ってます。

・・・また逢う日まで。

今日も読んでくれてありがとうございました(^^)

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