• コラム
  • 2018. 03. 02

ヒカルに捧げるブログ 3 最後

BY KANTARO KANTARO

 

 

 

1月9日

お葬式の日。

 

ヒカルと会える最後の日だ。

 

少し早めにホテルを出て、取り敢えず顔を見せてもらった。

 

ヒカルの顔は、昨日よりも少し穏やかな顔つきになった様に見えた。

 

『4日前は元気だったんだろうな。』とかを考えると、

やっぱり不思議な気分になった。

 

 

 

 

 

お坊さんがお経を読み上げている間も、色んなことを思い出したけど、何を思い出していたのかは覚えていない。

 

いよいよ出棺の時が来た。

 

三つ編みとカンタロウのトレーナーを棺に入れた。

 

お坊さんがヒカルの手を出してくれたので、しっかりと握っておいてた。

 

とても冷たかった。

 

 

棺を持たせてもらって、車に乗せた。

 

雪の降る中で、ヒカルを乗せた車が出発する。

 

 

手を合わせて、車が見えなくなるまで、最後まで見送った。

 

 

 

 

 

最後の日はそんな感じで、淡々と、断片的にしか記憶にない。

 

 

当たり前のように、滞りなく行われる葬儀が、ボーッとしている間に終わったような感じだった。

 

お葬式が終わった後も、俺も慶志郎もワイも淡々としてたし、涙も殆ど流れなかった。。。

 

 

なんとも言えない感覚。。。

 

会話もない。

 

ただ、『やるしかない。』と変な気合が入るだけで。。。

 

矛盾ばかりが頭の中をぐるぐると回った。

 

 

帰りは慶志郎の運転で、空港までまた車を走らせた。

 

 

 

 

 

空港では、海鮮丼を食べた。

 

結局、人間って、お腹が空くもんなんだな。。。

 

 

 

 

 

 

人はいつか死ぬ。

 

でも、いつ死ぬかは、わからない。

 

余命宣告でもされれば、大体の余命はわかるにしても、やっぱり、いつ余命宣告されるかはわからない。

 

ヒカルのように、若くして突然に死んでしまうことだってある。

 

 

とにかく、『人間誰しも、いつかは死ぬ。』って事だけは、みんな知ってる。

 

 

 

だから、『毎日を一生懸命に生きろ』っていう言葉の意味もよくわかる。

 

 

本当によく分かってはいるんだけど、何故か実感がなくて、何故か曖昧なままの日々を過ごしてしまう。

 

 

それが、当たり前の毎日なんだ。

 

 

 

ヒカルが不慮の事故で死んでしまって、改めて、自分が『生きている』ということを実感している。

 

 

師匠であった俺が、弟子の死をもって、学ばさせてもらってる。

 

なんとも、やるせない限りである。

 

 

 

 

 

 

3月1日

 

 

ヒカルの親族が北海道から大阪まで来て、ヒカルの部屋の片付けをしに来た。

 

あの日から、ヒカルの部屋は殆ど触らずそのままにしておいたから、まだヒカルが居る形跡は残っていた。

 

 

 

部屋に入るなり、親族の方々は泣いていた。

 

 

俺はすぐに部屋から出て、敢えてなにも干渉せずに、仕事に戻った。

 

 

 

3時間後。

 

 

家に戻ってみると、大きなスーツケース3個分の『ヒカルの遺品』となった荷物と、ゴミ袋7個分の『ヒカルのゴミ』の全てが玄関に用意されていた。

 

全てがヒカルのモノだった。

 

これで、これまで俺の部屋にあったヒカルの形跡が、全て無くなった。。。

 

 

 

 

 

ヒカルの親族を車に乗せて、家から職場である『LIM+LIM』までの道のり(ヒカルが通ったであろう順路)をゆっくりと走らせた。

 

 

後部座席で泣いているのがわかったけど、俺は何も言えなかった。

 

 

途中で叔母さんが、ヒカルとの車に関するエピソードを色々と聞かせてくれた。

 

俺もお返しに、少しだけヒカルとのエピソードを話した。

 

 

そして、ヒカルが働いていた『LIM+LIM』を見てもらって。

 

みんなで店内で写真を撮って。

 

 

そして心斎橋でヒカルの親族とさよならをした。

 

 

 

 

とりあえず、一つの『区切り』がこれで終わった。。。

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、と。。。

 

よし、次に行こう。

 

 

 

ヒカルには悪いけど、俺の人生はまだまだ続く。

 

これからも俺は生きて行かなくてはいけない。

 

 

 

ここんところ、ちょっと感傷的にはなってたけど、いつまでもそうしてもいられない。

 

 

 

『去ってしまった奴よりも、今、生きている奴らの方が大切だ。』

 

 

俺自身、家族、弟子、スタッフ、そしてこれから出会う全ての人たち。

 

 

俺の目線はいつも先にしかない。

 

 

 

ヒカル。

 

悪りぃな。

 

でも、お前ならわかるよな?

 

たった6ヶ月間っていう短い間だったけど、俺のこと見て来てたやろ??

 

 

LIMから出て行ったスタッフの後なんか全く気にせず追いかけず、今残っているスタッフの為だけに全力を注ぐ。

 

 

そういう、俺の『愛のかたち』も見てたからわかるよな?

 

 

俺は『お前の分』も生きてやろうって思ってるけど、『お前の為』に生きることはない。

 

 

俺は俺の為に生きるから、天国からも俺の活躍をしっかりと見とけよ。

 

お前が死んだ時に持ってた、俺の家の鍵を親族から返してもらったで。

 

この鍵だけは、俺がずっと持っといてやるからな。

 

俺が死ぬまで、お前のことは忘れはしないから、心配すんな。

 

 

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